赤外線画像解析
測温パラメーターの調整、温度範囲の調整、カラーパレットの選択、アラーム設定
測温パラメーター
赤外線カメラが記録した温度は、放射率や反射温度などの前提条件のうえで計算された値です。撮影時の設定が対象物に合っていなかった場合、CRITIR 側で後から設定し直して温度を計算し直すことができます。
右パネルの 測温パラメーター から編集します。FLIR / DJI のサーマル画像を表示しているときに表示されます。
| 項目 | 説明 | 初期値 |
|---|---|---|
| 放射率 | 対象物の放射率。コンクリート・タイルは 0.90〜0.95 程度 | 0.95 |
| 反射温度 | 対象物に映り込む周囲の温度(空・建物など) | 20℃ |
| 距離 | カメラから対象物までの距離 | 1.0m |
| 大気温度 | 撮影時の気温 | 20℃ |
| 相対湿度 | 撮影時の湿度 | 50% |
値の横に (推定値) と表示されている項目は、画像に記録が無く CRITIR が推定した値です。実際の条件がわかっている場合は入力し直してください。
設定の範囲と保存の単位
設定は セット内の同じカメラ機種の画像にまとめて適用されます。セットが違えば別々に設定でき、同じセットでも機種が違えば別々に保持されます。
パネル右上のバッジで状態がわかります。
| バッジ | 状態 |
|---|---|
| 未変更 | 画像に記録された値をそのまま使用中 |
| 未保存 | 値を編集したがまだ保存していない |
| 保存済 | 手動で設定した値が保存され、適用されている |
保存と再計算
保存 を押すと、対象画像の温度が新しいパラメーターで計算し直されます。測定を作成済みの画像は温度値も再計算され、進捗がツールバーに表示されます。
画像内デフォルトを使用 を押すと、手動設定を破棄して画像に記録されている撮影時の値に戻します。
DJI サーマルカメラの High Res モードで撮影された画像は、測温パラメーターを変更できません(撮影時の設定で固定されます)。この形式は DJI SDK が公式に対応していないため、温度は簡易デコーダによる参考値として表示されます。相対的な温度差の比較には使用できます。
撮影時に何を設定しておくべきかは 撮影 TIPS を参照してください。同一調査内では設定を統一しておくと、報告書での比較が一貫します。
温度表示範囲の調整
画面下部の温度スライダーで、赤外線画像のコントラストを調整できます。
- 青ハンドルと赤ハンドルをドラッグして範囲を設定
- 2つのハンドルの間をドラッグすると、範囲全体をスライドできます
- 背景にはヒストグラム(温度分布)が表示されます
Shiftキーで素早く操作
温度スライダーまで手を伸ばさなくても、画像の上で Shift を押しながらマウスを動かすだけで表示範囲を調整できます(クリックは不要)。画像を見たまま、素早くコントラストを追い込めます。
| 操作 | 効果 |
|---|---|
| Shift を押しながら左右に動かす | 表示範囲を移動(スライド) |
| Shift を押しながら上下に動かす/マウスホイール | 温度幅を拡縮(コントラスト調整・中心を維持) |
Shift を離すと操作を終了します。この操作はメインビューワー・オルソビューワー・3Dビューのいずれでも利用できます。
パーセンタイルプリセット
温度スライダーをダブルクリックするか、プリセットボタンをクリックすることでよく使う表示範囲にすばやく切り替えられます。
| プリセット | 説明 |
|---|---|
| 95% | 外れ値を除いた標準的な範囲。コントラスト高め(デフォルト) |
| 98% | やや広めの範囲。極端な高温・低温も含めて確認したい場合 |
| 100% | データの全範囲を表示。外れ値を含むためコントラストは低め |
表示範囲のロック
右クリックメニューから表示範囲をロックできます。ロック中は画像を切り替えても表示範囲が維持されます。/ ダブルクリックか右クリックメニューで解除できます。
アラーム設定
ビューワー右側のアラームバーで、温度のアラーム閾値を設定できます。
- 赤ハンドル(上限)と青ハンドル(下限)をドラッグして閾値を設定
- 2つのハンドルの間をドラッグすると、閾値全体を平行移動できます
- 閾値の範囲内はカラーパレットで着色、範囲外はグレーで表示されます
- ダブルクリックでアラーム閾値をリセットできます
閾値のロック
右クリックメニューから閾値をロックできます。ロック中は画像を切り替えても閾値が維持されます。 ダブルクリックか右クリックメニューで解除できます。
温度スライダーの状態やアラーム設定は自動的に保存されます。
温度マスク
指定した温度範囲の外にある画素をマスクし、統計計算から除外します。空や背景の映り込みに引きずられない、正確な最高・最低・平均温度を得られます。

設定方法
以下のいずれかから設定します。
- 表示モードバーの 赤外線画像 の右にある ボタン(ツールチップ: 温度マスク設定)
- ツールバーの 設定 ▾ → 共通設定... → 温度マスク タブ
| 項目 | 説明 | 既定値 |
|---|---|---|
| 温度マスクを有効にする | マスク機能のオン/オフ | オフ |
| 下限温度 | これより低い温度をマスク(-100.0〜100.0 ℃) | -20.0 ℃ |
| 上限温度 | これより高い温度をマスク(100.0〜3000.0 ℃) | 1600.0 ℃ |
| マスク部分を可視画像で表示する | オンでマスク部分に可視画像を表示。オフではグレー表示 | オフ |
プリセットボタンで代表的な値をすばやく適用できます。
| プリセット | 下限 / 上限 |
|---|---|
| デフォルト | -20.0 ℃ / 1600.0 ℃ |
| 厳格 | -10.0 ℃ / 500.0 ℃ |
| 緩和 | -40.0 ℃ / 2000.0 ℃ |
適用範囲
設定はメインビューワーとオルソビューワーの両方に適用され、測定の統計値が再計算されます。レポート出力や画像エクスポートにも反映されます。設定はプロジェクトに保存され、次回開いたときに復元されます。
温度スライダー(表示範囲)の操作範囲は、温度マスクの影響を受けません。マスクを設定しても、画像が持つ全温度域でコントラストを調整できます。
カラーパレット
赤外線画像の色の表現方法を10種類のパレットから選択できます。
標準パレット
| パレット | 特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| Ironbow | 明暗と色相の両方で温度差を表現 | 汎用。最も広く使われる標準パレット |
| Rainbow | 広い色域で温度帯を色分け | 温度分布の概観把握 |
| Rainbow HC | Rainbowの色数を増やした高コントラスト版 | 微小温度差の検出・詳細分析 |
科学系パレット
| パレット | 特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| Inferno | 知覚的に均一な色変化。色覚多様性に対応 | 定量分析・レポート |
| Hot | 直感的な「熱さ」の表現 | 熱源の特定・断熱不良の発見 |
| Lava | 暗部の階調が豊富な暖色系 | 高温部の分析・温度勾配の可視化 |
| Coolwarm | 中間温度を白とした対称配色 | 基準温度からの偏差・冷暖の比較 |
| Arctic | 寒色系で冷涼な印象 | 低温側の分析・結露・漏気調査 |
モノクロ系
| パレット | 特徴 | おすすめ用途 |
|---|---|---|
| White Hot | 低温が黒、高温が白 | 伝統的表示モード |
| Black Hot | 高温ほど暗い反転階調 | 伝統的表示モード |
エッジ表示
ツールバーの からエッジパネルを開き、温度エッジと輪郭強調の2つの機能を利用できます。
温度エッジ
温度変化の境界線を可視化します。温度勾配が大きい箇所を視覚的に把握できます。
| 設定 | 説明 |
|---|---|
| ソース | 表示(カラーマップ適用後の画像)または 温度(温度データ)からエッジを抽出 |
| 参照画像 | 参照する画像を赤外線画像か可視画像から選択 |
| 感度 | エッジの検出感度(0〜100) |
| 透明度 | エッジ表示時の背景画像の透明度(0〜100%) |
輪郭強調
可視画像の輪郭線を赤外線画像に重ねて表示します。建物の構造や部材の境界を赤外線画像上で確認できます。
| 設定 | 説明 |
|---|---|
| 感度 | 輪郭の検出感度(0〜100) |
| 輪郭色 | 白 または 黒 |
